ノアの箱舟を創ろう Let us Create the Super Ocean-Floating-Structures such as the Noah's ark.

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Tuesday, January 26, 2010

ていかかずら

/div【出展引用リンク】:http://albireo190.blog.so-net.ne.jp/archive/200606-1

【引用始め】以下の通り

===  =  ===  =  ===




           これは 式子内親王(しょくしないしんのう)御墓(みはか)なり
           また この(かずら)をば 定家葛(ていかかずら)と申し(そうろう)

           式子内親王 始めは賀茂(かも)(いつき)の宮に備はり給ひしを 
           定家(ていか)(きょう) 忍び忍び おん(ちぎ)り浅からず
           その(のち) 式子内親王 ほどなく(むな)しくなり給ひしに 
           定家の執心 葛となって 御墓に()(まと)ひ 
           互いの苦しみ離れやらず
                                                   謡曲「定家(ていか)」より


                  テイカカズラ 定家葛  キョウチクトウ科 テイカカズラ属
『テイカカズラ』の名前は、中世初期の歌人藤原定家(「さだいえ」、または「ていか」)に、まつわる伝説的な物語に由来します。
上賀茂神社の斎宮(さいぐう)であった式子内親王(しきしないしんのう)への定家の恋心は、内親王の死後も激しい妄念となり、蔓草(つるくさ)と化してその墓に(まと)い付いたという物語は、上に引用した能『定家』の原拠ともなっています。
勿論、この話は伝説に過ぎません。
藤原定家という人は、文学史上では評価される人物です。
しかし、性格的には争いを好む面を持っており、亡くなった知人を激しく批判する文書なども残っているという、かなり感情の起伏も激しい人だったようです。
また、名誉や地位に対する執着心も強かったようで、そうした本人の性格も、このような伝説を生む素地になっているのかも知れません。
『テイカカズラ』は、それ以前には『真拆(まさき)(かずら)』と呼ばれて、神事にも用いられていたと言います。


ちなみに「式子内親王」の読み方は、能では「しょくし・・・」ですが、現在では「しきし・・・」と読むようです。



先日、ミヤさんのブログで、この花はよい香りがすることを知りました。
昨年撮ったときには、花を撮るのに夢中で、香りには気付いていませんでした…。
僕が感じた香りは、花というよりも香木に近いような気がします。
それも、香を焚いたものではなく、白檀などの木そのものの香りを、もっと甘くしたような…。
あるいは、「ジャスミン茶」の香りにも似ていたかも知れません。
ジャスミンの花の香りではなく、あくまでも「ジャスミン茶」の香りを、やはり甘くしたような・・・。
ミヤさんが仰るように、香りを言葉で言い表すのは難しいようです・・・。
puripuriさんも、この花を記事に載せていらっしゃいますが、puripuriさんのご感想では、ハリエンジュ(ニセアカシア)の香りに似ているそうです。


            スイカズラ  忍冬  スイカズラ科  スイカズラ属
この花も、あちこちの藪の木や、空き地を囲うフェンスなどに絡み付いて咲いています。
『かずら』という言葉は、蔓草を指すものですが、前のテイカカズラと共に、このスイカズラも草ではなく、木の仲間です。
日本や中国では、漢方薬などに用いられる植物です。
しかし、アメリカなどでは、かつて園芸用に導入したものが、農地に蔓延(はびこ)ってしまい困っているという報告もあるそうです。
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地球環境の激変につながりうる7つの転換点

【出展引用リンク1】: 

http://wiredvision.jp/news/201001/2010012023.html

【引用始め】:以下の通り

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Brandon Keim

地球の東半球と西半球。Image:NASA
2009年12月9日付けの『米国科学アカデミー紀要』(PNAS)は、地球環境における転換点(tipping elements)という特集を掲載した。転換点とは、限界を超えたときに大規模な変化を起こし、元の安定性には戻らなくなる可能性があるポイントだ。
海流や海底メタンなど、地球の「転換点」になりうる領域について紹介していこう。
両極の氷

北極海の海氷が融解しつつあることは、今や広く知られている[氷がなくなったため、「北西航路」が開通したという日本語版記事はこちら]。この現象は加速している、つまり、氷が溶けると、暗い部分が出来るためさらに温度が上がるということも主張されている。
ただし、独マックス・プランク研究所の気象学者Dirk Notz氏は、北極海については、冬になると再び凍るという逆のプロセスがあるため、温暖化が止まったとしたら元に戻る可能性があると考えている。しかし同氏は、南極海の海氷については楽観的には考えていない。
南極海の氷床は、渦を巻く南洋の海流によって暖められている。また、西南極およびグリーンランドの氷床は、過去数百万年の間に少なくとも2回、急速に縮小(溶解)しており、この動きは気候モデルによって裏づけされている。
これらの氷床が「崩壊する可能性への転換点が存在するということは、充分にありうる」と、Notz氏は『米国科学アカデミー紀要』(PNAS)の論文で述べている。「それにより氷床が失われ、一定レベルの温暖化の枠を超えて、抑止不可能な海面上昇を引き起こす」可能性があるというのだ。
メタンハイドレート

北極海の海底から浮上するメタンの上昇流。Image:National Oceanography Centre, Southampton
700兆トンから1万兆トンと推定されるメタンハイドレートが、何百万年をかけて蓄積した海底の堆積物中に存在している。[メタンハイドレート(Methane hydrate)は、メタンを中心にして周囲を水分子が囲んだ形になっている固体結晶。見た目は氷に似ており、火をつけると燃えるために「燃える氷」と言われることもある。体積の8割が水、2割がメタン。シベリアなどの永久凍土の地下数100m〜1000mの堆積物中や海底に存在する]
メタンは強力な温室効果ガスだ。もし地球の気温が摂氏3度上昇すれば(これは温暖化ガスの水準が高いままであった場合、可能性があるとされる気温上昇の範囲内の数字だ)、海底の温度が上昇し、これらのメタンが放出される可能性がある。化石燃料の使用が止まったとしても、メタンによる温暖化は続くと予測する研究者もいる。
[メタンは二酸化炭素の20倍の温室効果があるとされている。地球温暖化が進むと海水温が上がり、メタンが大気中に放出され、さらに温暖化がすすむという悪循環が生じるという仮説がある。2億5千万年前のP-T境界ではこの現象が実際におこり、大量絶滅をより深刻なものにしたとされている。
なお、メタンハイドレードはエネルギー問題を解決する可能性も期待されているが、日本政府が試掘を行なっている南海トラフでは現有する採掘技術を使用して採掘・生産しても経済的には全く引き合わないため、商業生産に向けた民間レベルでの採掘計画は存在しない。メタンハイドレードについての日本語版記事はこちら]

画像は別の日本語版記事より

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【出展引用リンク2】:

地球環境7つの転換点(2):海流と砂塵





Brandon Keim
(1)から続く
メキシコ湾流

画像はwikipedia
メキシコ湾流(Gulf Stream)は、メキシコ湾付近で発生し、北米の東海岸沿いを北上してから、北欧および西アフリカに向かう2つの流れに分かれる。[メキシコ湾流は、黒潮と並ぶ世界最大の海流。南から暖かい海水を運ぶため暖流に分類され、イギリスなどヨーロッパの高緯度地域を温暖な気候に保つのに重要な役割をしている]
前回の氷河期の間に、この海流の速度が突然低下することが繰り返し起こっている。この速度低下が、主に風を原因とするのか、あるいは氷床の溶解による淡水の流入を原因とするのかをめぐって、議論が行なわれている。
『気候変動に関する政府間パネル』(IPCC)は最新の報告書のなかで、21世紀におけるメキシコ湾流の速度低下の危険性を10%ととしている。


淡水の流入によって、北大西洋の子午面循環(Atlantic Meridional Overturning Circulation:AMOC)の温度が下がることを示すモデル。Image:National Center for Atmospheric Research
チャドからの砂塵

Image:NASA
サハラ砂漠に位置する、古代の湖底の堆積物に覆われた広大なボデレ低地では、その全域を吹き付ける風によって、1年間に70万トンの砂塵が大気に巻き上げられる。
その砂塵は世界中を舞い、日光を遮るほか、ある地域では気温の低下を、また他の地域では降雨や気温上昇を引き起こす原因となっている。影響は、大西洋地域の生態系や、カリブ海の珊瑚礁、アマゾンなどにも及ぶとされている。
小さな気候変動でも、この砂塵に大きな影響を及ぼしうる、とPNASで論じるのは、オックスフォード大学のアフリカ気候の研究者たちだ。「かなりの不確実性があるものの、21世紀におけるいくつかのシミュレーションでは、砂塵の大幅な増加が起こる可能性が示唆されている」という。
[ボデレ低地はチャド中央部にある盆地で、200km四方に広がっている。かつてはチャド湖ともつながる巨大な湖が存在していたが、サハラ砂漠全域の乾燥化とともに湖は干上がり、ほぼ全域が巨大な砂丘によって覆われるようになった。この大量の砂塵は貿易風(ハルマッタン)によって巻き上げられ、遠く地中海やアマゾンにまで降り注いでいる]

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地球環境7つの転換点(3):モンスーンと熱帯雨林





Brandon Keim
(2)から続く
南アジアのモンスーン

Image: flickrohit/Flickr.
アジアでは何百万人という人々が、農業に関して、定期的に訪れるモンスーンの降雨に依存している。だが歴史的に見ると、モンスーンの動きは気まぐれだ。現在のインドと中国において、モンスーンは前回の氷河期が終わってから、数回は突然の変化を見せている。
「われわれは、降雨を調べるために古代からの記録を取ってきた。すると、ほとんどスイッチのようなものがあったのが分かる。モンスーンのスイッチが入ることもあれば、入らないこともある。両者の差は非常に小さい」と、独ポツダム気候変動研究所の気候システム力学教授Anders Levermann氏は述べている。
そのスイッチを、地球の気候変動が切り替える可能性はあるが、これが唯一の原因というわけではない。「森林が砂漠へと変化すると、より多くの日光を反射し、気温は低下する。また、強力な大気汚染は日光を反射するので、何らかの変化を引き起こす可能性がある。これら両方の問題が、インドと中国の地域に存在する」
[インドや中国などの都市から出る煤が、ヒマラヤ氷河に影響を与えているという日本語版記事はこちら。地球温暖化の結果、ハリケーンなどが巨大化するという説を紹介する日本語版記事はこちら]
アマゾンの熱帯雨林

アマゾンの熱帯雨林は、莫大な量の炭素を保存している。これが破壊されることは、地球温暖化を劇的に変化させるだろう。
ただし、気温の上昇と天候パターンの変動自体によってアマゾンのジャングルの森林破壊が起こることはないだろうと、オックスフォード大学の生態系科学者Yadvinder Malhi氏が率いる研究者たちは、PNASの論文に記している。だが、森林破壊が乾季の激化と重なると、火災が起こりやすくなり、気候変動に寄与する森林崩壊をさらに引き起こすという。
[世界の熱帯雨林が破壊されていく速度は、毎秒0.5〜0.8ヘクタール。かつて地表の14%を覆っていたとされる熱帯雨林が、現在は6%まで減少し、このペースで減少が続けば、40年で地球上から消滅するものと予測されている。
アマゾン地域では、最初に道路が建設され、その後、小さな農地を得るために土地が開拓される。そして数年後に、その土地は侵食され荒廃する。作物生産量の低さに苦しむ農民らは、その土地を牧畜向けに変換し、作物のためにさらに森林を伐採する。その後、多数の蓄牛を所有する人が土地を購入する。こういった過程が繰り返されるという]

[日本語版:ガリレオ-向井朋子/合原弘子]

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【引用終わり】:以上の通り
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【「GPS受信機を使った津波予報」の可能性】:by Wiredvision.jp

【出展引用リンク】:http://wiredvision.jp/archives/200512/2005122705.html
【引用始め】:以下の通り

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Elizabeth Svoboda 2005年12月27日
GPS受信機はすでに、徒歩旅行者やドライバーが道を知るために欠かせない道具になっている。こうしたGPS受信機を今後、津波の予報に応用しようと計画している科学者たちがいる。
ハワイにある太平洋津波警報センター(PTWC)などの国際的組織は現在、沿岸に設置した地震観測点を使って、巨大な波を引き起こす可能性のある深海の地震活動を記録している。しかし、アラスカ大学フェアバンクス校のジェフリー・フライミューラー準教授(地球物理学)によると、GPS受信機からのデータを使えば、津波の発生源になる地震の規模についてより早く正確な推定値が得られるので、避難する時間が稼げるという。フライミューラー準教授は、米国地球物理学会が今月サンフランシスコで開催した会議でこの知見を発表した。
地震計とは異なり、GPS受信機は地面の動きをリアルタイムで測定できる。地震のマグニチュード(規模)は地面の動きの度合いに直接的に相関するので、GPS受信機は巨大地震の激しさを早ければ20分以内に正確に測定できると、フライミューラー準教授は説明した。
「地震計は地面の動き(地震動)を計測する。この計測値を得るには、重要な振動の周期を数多く検出しなければならない」と、フライミューラー準教授は述べる。「GPS受信機は地面の静的変位を計測する。地震が発生してから最初の数分間以降は、この変位はあまり変化しない」
フライミューラー準教授は、地震計とGPS受信機からのデータを連携して使い、津波を引き起こす地震の強度を発生直後から計測する新しい津波警報システムを構想している。実現すれば、押し寄せる津波のより正確なコンピューター・シミュレーションが可能になるので、さらに適切な避難計画が立てられるだろう。津波の被害に見舞われやすい場所に沿って約160キロメートルごとにGPS受信機を設置するのにかかる期間は数ヵ月程度で、それぞれの受信機は1万ドル以下だと、フライミューラー準教授は続けた。
「GPS受信機による早期警報によって、何千もの人命が救えるだろう」と、フライミューラー準教授は語る。「昨年、インド洋で津波が発生したときに、正確な警報システムが設置されていれば、避難する時間が1〜2時間は稼げただろう。1分の差が重要なのだ」
昨年のインド洋津波を引き起こした地震のように非常に巨大な地震を地震計で計測する場合、数時間かけて計測値を微調整する。異なる場所に設置したさまざまな観測点で振動を記録しなければならないからだ。東南アジアに巨大な津波をもたらしたこの地震が最初に検知されたとき、PTWCは地震のマグニチュードを8.0と推定したが、1時間後には推定値を8.5に修正した。さらに数時間後、ハーバード大学のチームがこの地震をマグニチュード8.9だと判定した。最終的な測定値、マグニチュード9.2が了承されたのは数ヵ月後だった。
スクリップス海洋研究所の地質学者、イフダ・ボック博士もまた、津波警報システムにGPS受信機を使えるかどうかを研究している。ボック博士の調査結果もフライミューラー準教授の説明と同じように、GPS受信機が津波発生源の地震が引き起こす地面の動きをかつてないほどの正確さと早さで計測できることを示している。
「GPS受信機を使えば、地面の動きが秒単位で計測できる。最終的な地形の歪みが70秒以内に明らかになる」と、米国地球物理学会の海会議でも発表したボック博士は語る。津波の予測に加えて、GPSモジュールは火山活動や地滑りをリアルタイムで監視するのに使えるだろうと、ボック博士は考えている。
ジョージ・ワシントン大学の宇宙・高度通信調査研究所(SACRI)に所属するGPSの専門家、ピーター・マクドラン氏はフライミューラー準教授やボック博士と同じように、GPS受信機を災害予測ネットワークの一部にしたいと考えている。だが、マクドラン氏が構想する使い方は他とは異なる――地球の大気に発生する津波に関連した気圧波の動きを追跡するというものだ。
「津波の発生源になる地震は海面上に歪みをもたらし、大気に『衝撃』を与える。圧縮波が大気の上層に到達すると、この大気の乱れがGPS信号の送受信に微妙な変化を引き起こす」と、マクドラン氏は説明する。近くのGPS受信機から受け取った信号変化をデジタル処理すれば、間近に迫った津波を予測できるだろう。
マクドラン氏は、とくに津波被害を受けやすい東南アジアや米国の大西洋沿岸と太平洋に面した北西部沿岸などの地域に、GPSに接続したパソコンのネットワークを構築し、こうした信号の変化を監視することを提案している。
だが、目的は地震計に基づいた津波の検知方法を補うことであって、置き換えることではないと、マクドラン氏は強調する。「現在の地震感知装置は十分に機能している。地震計に基づく検知は非常に完成された技術だ。ただ、必要な情報をすべてこれだけで得られるわけではないのだ」と、マクドラン氏は語った。
[日本語版:福井 誠/高森郁哉]
Translations and other portions of original articles: Copyright © 2009 NTT Resonant Inc. and CondéNet, Inc. All rights reserved.
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【海底ケーブルで津波を検知:安価な警報システム構築へ】:by Wiredvision news 2010年1月22日

【出展引用リンク】: http://wiredvision.jp/news/201001/2010012223.html


【引用始め】:以下の通り

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Alexis Madrigal

2004年12月26日のスマトラ島沖地震で起きた津波。タイで撮影。画像はWikimedia
海底の光ファイバー・ケーブルを使って、津波を感知できる可能性があるという。これは、水の動きによって発生する電場について、新たに詳細なモデルを作成し検証したことで明らかになったものだ。
海水中の荷電粒子は、地球の磁場と相互に作用し合うことで、インターネットのトラフィックを運んでいる海底ケーブルに、最高で500ミリボルトの電圧を生じさせるという。
海水は塩分を含んでいるために、電気伝導性が高い。プラスに帯電したナトリウムイオンと、マイナスに帯電した塩化物イオン(塩素イオン)は、水溶液中を自由に動き回っている。海水が激しく動くとき、これらのイオンは地球の磁場と相互作用し、電場を形成する。
十数年前[1995年]、ベル研究所の研究者らが、1992年にカリフォルニア州メンドシノ岬で起きた地震の後で、海水の動きのために、海中ケーブルによって検出可能な「大規模な動電場」が発生したことを確認していた。だが、この研究が追試されることはなかった。より良い測定結果を得られる計測技術が、他にも利用できたためだ。
経済大国は、大量の水の動きを直接検知する海底圧力計をいくつも配備すれば良い。現に米国の太平洋津波警報センター(PTWC)はそうしている。[太平洋津波警報センターは、米国海洋大気圏局(NOAA)がハワイのオアフ島で運用している津波警報組織。約6000mの深度に海底圧力レコーダを設置し、津波の通過を検知してそのデータを音響モデムで海面ブイに送信。海面ブイからはGOES衛星を経由してPTWCに情報が送られる。海底圧力レコーダーは2年間連続動作し、海面ブイは毎年交換される]
だが、このような一連のセンサーを配備し維持するのが経済的に難しい国々も存在する。それゆえ、低コストの代替手段の開発は重要になりうる。

地磁気は赤道では弱く、高緯度地域では強い。単位はナノテスラ(nT)。
2月発行の『Earth, Planets and Space』誌[発行元は日本地震学会]に掲載される予定の論文では、比較的単純な技術を適用するだけで、海底ケーブルに生じる電圧の突発的上昇を、津波警告システムとして使用できる可能性があるとしている。海底圧力計を大規模に配備するのが経済的に難しい国々にとっては朗報だ。
「われわれが言いたいのは、このシステムの配備から測定開始までは非常にシンプルだということだ。海底ケーブルのシステムは既に存在している。これから必要になりそうなのは、理論上、電圧計1つだけだ」と、この研究を率いた米海洋大気局(NOAA)のManoj Nair氏(地磁気学)は語る。
研究チームはこの低コストの代替手段について、大規模な被害をもたらした2004年のインド洋津波のモデルを作成して物理学的に測定しており、海底ケーブルで生じた電圧が十分測定可能な規模だったとの見方を示している。
[2004年のインド洋津波とは、スマトラ島沖地震で発生した津波。平均で高さ10mに達する津波が数回、インド洋沿岸に押し寄せた(地形によっては34mに達した場所もあった)。スリランカ、インド、モルディブ、アフリカ諸国などではジェット機並みのスピード(約700km/h)で津波が押し寄せたと見られる。
インド洋の各国では津波早期警報システムが無く、2時間後に到達した地域においても避難勧告を出すことができなかった。米国の太平洋津波警報センターは津波発生の恐れに気づいたものの、警報を出したのはディエゴガルシア島駐留米軍宛のみで、関係各国には“告知”しか送らず、津波被災経験ゼロのインドネシアではその重大性に気づけなかったとされている。
比較的遅いスピードで津波が押し寄せたタイのプーケットでは、到着が地震発生から2時間30分後だった。タイでは、数少ないマングローブの森が津波のエネルギーを吸収し、後ろ側の陸地は大きな波に襲われずに済んだとされる]

画像はWikipedia
[日本語版:ガリレオ-江藤千夏/合原弘子]
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