2009年8月6日木曜日

深海巡航探査機「うらしま」による沖縄トラフ深海底熱水域調査の紹介















【深海巡航探査機「うらしま」による沖縄トラフ深海底調査の紹介】2007.12.14






~熱水噴出域の詳細な形状と分布のイメージングに成功~
1. 概要
海洋研究開発機構(理事長 加藤康宏)は沖縄トラフ伊平屋北部(図1)で、深海巡航探査機「うらしま」※1写真1)による熱水活動※2の精密探査のための技術試験を実施しました。
当試験海域は熱水活動が盛んなことで知られ、精密探査を行うことによって海底下の物質循環や海底資源に関する研究に大きく寄与するものと考えられています。しかし、当海域のような起伏の多い複雑な海底地形において一様に高い解像度のデータを取得するためには、海底からの高度を一定にして計測する必要があります。
今回、「うらしま」を起伏のある海底に追従できるように改良を行い、技術試験を行った結果、海底からほぼ一定の高度で航行できることが確認されました。また、搭載のマルチビーム音響測深機※3、並びに慣性航法システムの計測精度を向上させたことにより、高精度の海底地形図を作成することができました。
本試験により作成された高精度海底地形図(図2)からは、この海域に分布する熱水マウンド及びチムニー群のこれまでにない詳細な形状と分布が明らかになりました。また、サイドスキャンソーナー※4による計測では、熱水噴出孔から噴出する熱水の流れを連続音響反射画像として視覚化することにも成功しました。(図3
2. 内容
(1)調査場所:
沖縄トラフ伊平屋北部(沖縄本島北西約180km、水深約1,000m 図1
(2)調査期間:
平成19年5月6日~平成19年5月18日
(3)使用機器:
深海巡航探査機「うらしま」
(4)調査方法:
海底からの高度80mを航行し「うらしま」搭載のマルチビーム音響測深機、およびサイドスキャンソーナーにより計測(図4
(5)調査結果:
高精度海底地形図マルチビーム音響測深機と慣性航法システムの座標の組み合わせによって得られたデータから作成した海底地形図では、高低差10cm、水平方向60cmの精度で地形を識別できる海底地形図を作成することに成功しました。これまでの船舶による測深では、大水深になるほど解像度が低下するため、熱水マウンドやチムニー群の分布等、微細地形の特徴をとらえることは不可能でしたが、「うらしま」の高い航行性能により高精度の海底地形図を作成することが可能になりました。
連続音響反射イメージサイドスキャンソーナーによって取得されたデータから作成した連続音響反射画像では、海底から高度80mまでの底層に熱水プルーム※5と考えられる画像が多数検出されました。これらの画像を熱水プルームと推定した理由としては、1) 音響反射イメージの得られた範囲がこれまでの伊平屋北部海丘調査において活発な熱水湧出をともなう場所と一致すること、2) 音響反射イメージを取得した場所は、今回取得した高精度海底地形図にみられる熱水噴出孔とも一致すること、3) 同時に「うらしま」に搭載した物理化学センサー※6が音響イメージの得られた地点でのみ熱水の影響による水温上昇(図5)などの数値異常を示したことです。
3. 本成果の意義
今回の技術試験により「うらしま」の高い性能が確認され、「うらしま」を活用した深海調査研究における種々の科学調査、さらに熱水鉱床などの基礎調査、海底活断層の分布や活動度調査での精度向上が期待できます。また、今後の統合国際深海掘削計画(IODP)による深海掘削の事前調査などにも寄与するものと思われます。
※1
深海巡航探査機「うらしま」「うらしま」は荒れた海域や氷に閉ざされた海、活動中の海底火山付近など、潜水調査船の母船が近づくことが出来ない場所で調査を行うため自力で航行し、自動観測する無人探査機。平成17年2月には閉鎖式燃料電池を搭載して世界最長航続距離(317km)を達成後、平成18年度からAUVとしての航行制御機能を強化すると同時に海底探査機器を搭載して、海底の精密探査のための技術試験を実施している。
※2
熱水活動地球内部の熱放出の指標であり、全マントルのダイナミクスとも関連する現象。海底下に浸透した海水はマグマ活動により熱せられ、熱反応の過程を経て様々な物資を溶かし込んだ熱水として海底面の噴出口から放出される。熱水にはマグマ由来の二酸化炭素やメタンなどのガス成分、海洋地殻から溶け出した岩石鉱物成分などが含まれており、その一部は海洋の生物生産にも利用される。海洋全体でみると、海底での海水・熱水循環の流量は陸上河川から海洋に流入する流量に匹敵するとも推定されている。また、海洋生態系に対しては、固有の熱水依存生物群集の分布や化学成分が及ぼす生物生産への影響などが研究されている。
※3
マルチビーム音響測深機海底地形図は音響測深により作成するが、今回の航海で「うらしま」に搭載したシステムは従来の機種よりも解像度が高い。ROV(有索無人探査機)やAUVなどの場合は波浪による影響を受けず,また,海底面に接近するため高周波が使用できることから、水上船舶による音響測深よりも精度の高い地形図を作成することが可能である。今回の調査では、高低差10cm、水平方向60cmの解像度で地形を識別できるだけの精度が得られている。
※4
サイドスキャンソーナー機体左右の側面にそれぞれ1台ずつ送受波器(送信周波数120kHz)を装備し、航行しながら超音波を繰り返し放射して海底で反射(散乱)した音波(エコー)を受信する。海底の起伏や底質によって音波の散乱強度は変化するため、海底面の微細な地形を音響的に表現する音響イメージを作成することができる。
※5
熱水プルーム(plume)海底から放出された熱水が周囲の海水と混合しながら形成する物理化学的に特異な性質の水塊を熱水プルームと呼んでいる。その組成は熱水の組成を反映するため海底下の岩石鉱物成分の影響を強く受け、その噴出規模は海底下のマグマ活動や海底地殻の地質構造により変わる。
※6
物理化学センサー(開発:電力中央研究所)イオン感応性電界効果型トランジスター(ISFET)を利用した化学センサーで、pHや二酸化炭素分圧の測定などに応用されている。感応速度が速く、ROVやAUVなど水中を高速で移動する探査機に取り付けても計測ができる。

図1.調査海域(伊平屋熱水活動域:図中□部)沖縄トラフ伊平屋海凹北部海丘(北緯27°47',東経126°53' 水深約1000m)の熱水活動については、1995年に発見されて以来、地球科学および微生物学の分野が中心となり精力的に調査研究が継続されてきた。伊平屋北部海丘では、最高300°Cの高温熱水が噴出している。

写真1.支援母船に揚収される、深海巡航探査機「うらしま」(この画像は過去の試験航海時のものです)

図2(a).北伊平屋熱水噴出海域の海底地形図(3次元表示)「うらしま」のマルチビーム音響測深機の取得データから作成した高精度海底地形図の3次元表示

図2(b).北伊平屋熱水噴出海域の海底地形図(2次元表示)「うらしま」のマルチビーム音響測深機の取得データから作成した高精度海底地形図の2次元表示

図2(c). 北伊平屋熱水噴出海域の海底地形図(船舶からの取得データ)船舶のマルチビーム音響測深機の取得データから作成した同一海域の海底地形図

図3.北伊平屋熱水噴出海域の連続音響反射イメージ色の濃い部分は、反射強度が弱い部分、色の薄い部分は反射強度が強い部分を示す。図中央部の暗色部分は海水の反射であるが、熱水プルームと考え得られる反射強度が強い画像が検出された。

図4.海底の熱水活動の精密探査のイメージ(a)複雑な海底地形の熱水噴出海域において海底からの高度80mを維持し探査(b)サイドスキャンソーナーによる探査では左舷・右舷両側の音響反射画像データが連続的に取得される

図5.「うらしま」搭載の物理化学センサーで得られた北伊平屋熱水噴出海域の水深と水温の関係 熱水活動域においては、水深が深い場所でも水温が高いことを示す。
お問い合わせ先:
(深海巡航探査機「うらしま」について)
海洋工学センター 応用技術部 探査技術グループサブリーダー 月岡 哲 046-867-9377
(報道について)
経営企画室報道室長 大嶋 真司 046-867-9193
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